プロカメラマン への

写真のテクニックから人生相談にいたるまで、柳沢雅彦が読者のさまざまな質問に答える好評のシリーズ企画「新・プロカメラマンへの道~唯我独尊Q&A編」は、 7月10日更新の「特別編」をもちまして一時中断させていただきます。 なお引き続き、読者の皆様からの質問は こちらのページ で受け付けております。 お寄せいただいた質問については、今後は短期集中連載という形で取り上げさせていただきます。

Q9 「アタシもプロになれるかしら!?」 バックナンバーはこちらのページからどうぞ

最近、写真界でも女性の活躍が目立っているようですが、私でも「こんな写真くらい撮れるのになー」って思うことがあります。先生は今の状況を、どうお考えですか? また今後は、どうなっていくのでしょうか?
__ (愛知県・28才・主婦)

何を隠そう、あなたが「私でも、こんな写真くらい撮れるのになー」と思うところがミソなのです。 その溜め息に、すべてが凝縮されているといっても過言ではありません。

長い間、日本の写真界は男性が主流でした。もちろん報道写真の世界でも女性ながらに国際的に有名な方もいらっしゃいましたが、その人たちは「男性顔負け」の行動力とパワーが売りでした。

ところが最近、注目を集めているのは、あくまでも柔和な「女性らしさ」を前面に押し出している人たちなのです。 ついには何にも縛られない自由奔放さを武器にして、気ままにシャッターを押し続ける若い女性たちが写真賞を独占して脚光を浴びました。

これまで男性中心だった写真の世界では、あらゆる表現技法の実験が試みられ、さまざまな作風が発表されてきました。 21世紀を目前にして行き詰まったかのように思われたなかで、あたかも稀有な存在のように取り上げられたのが、今をときめく彼女たちでした。

当時のマスコミは、いかにも宇宙人と遭遇したかのように好奇の目で見つめ、騒ぎ立てました。しかし実はニッポンの女性に脈々と受け継がれながらも、絶えず抑圧されてきた「しなやかな感性」にすぎなかったのです。

それでも男性がこしらえた堅固な城壁に風穴を空け、さわやかな一陣の風が吹き込んだことは、やはり衝撃的でした。私はベルリンの壁の崩壊のように心地よく感じました。

しかし、そのおかげで私のもとには全国の若い女性から数多くの作品が持ち込まれることになりました。そのどれもが時代のスターたちと見分けがつかないくらい酷似していたのです。 「私もプロになれますか?」とうとう私は困って腕組みしてしまいました。

「社会に同じものは2つといらないんです」「早いもの勝ちなんです」 何度、同じセリフを吐いたことか…。写真というのは、他の芸術と違って簡単に真似できてしまうので、よけいに混乱が生じたようです。 私は時代を彩った写真界のスーパースターたちが、さらに凄い作品を発表して同じ女性たちに「格の違い」を見せつけてくれることを祈るばかりです。






連載第10回 「元カノのヌードだって!?」 もぜひご覧ください




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