PART2. 彼女と真剣に見つめ合う
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| 【質問】 | 撮影中、女の子のどこを見つめ、どんなことを考えながらシャッターを押していますか。「女の子を撮る」感覚というのは、ひと言で、どんなものですか。
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| 【柳沢】 | もちろん女の子の胸やお尻、指先など、あらゆる部分に熱い視線を注ぎます。でも私が一番、凝視するのは、やはり女の子の瞳。だって私が、もっとも知りたいのはモデルの胸の内なんです。つまりハート。そのために、じっと瞳を覗き込むんです。
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| 【質問】 | モデルの「胸」ではなく「胸の内」ですか。いかにも柳沢さんらしい(笑)。
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| 【柳沢】 | そうですか。もしかしたら、ちょっとキザに聞こえたかな。
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| 【質問】 | タキシード姿の柳沢さんを連想してしまいます。
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| 【柳沢】 | それもまた、謎めいた言葉です(笑)。でも、これって本当なんですよ。「誰よりもキレイに撮ってあげたいというピュアな気持ちがストレートに相手の心に伝わっているだろうか」そんな不安を胸にシャッターを押し続けているんです。
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| 【質問】 | なんか詩人と話してるみたい。それも現代詩人じゃなくて、遠い昔の詩人(笑)。柳沢さんて噂どおり、やっぱり面白い人です。こんなインタビューは、さすがに初めて。
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| 【柳沢】 | ふたりで笑ってばかりいても仕方ないので、話を続けますね。まだ本人さえも知らない美しさを、写真家の眼で発見し、どこまで描き出してあげられるか。彼女は無名だからこそ、逆に私の腕が試されるわけです。そういう意味では怖いですよ。「私って、そんなにキレイ? じゃあ、キレイに撮って!」いつも彼女の瞳が、甘く語りかけるんです。
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| 【質問】 | それでモデルに対してポーズや笑顔の注文をつけるんですか。
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| 【柳沢】 | いえ、モデルに向かって「ハイ、笑って」などという野暮な注文は出しません。ふくれっつらしていれば、それでいいし、泣いていれば、それでもいい。怒っていても、まったく問題ないんです。その娘の、その瞬間の素直な感情が何よりも大切なのです。
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| 【質問】 | そんなやりかたで写真集ができるんですか。
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| 【柳沢】 | それが、できちゃったんだから不思議ですね。私にとって「女の子を撮る」というのは、一瞬、モデルと人生が交差すること。数メートル手前で相手にウインクして、OKのサインが返ってきたら、カシャカシャカシャと猛烈な勢いで撮りまくるんです。そして通り過ぎてしまったら、もう撮らない。
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| 【質問】 | それで、どうするんですか、そのあとは…。
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| 【柳沢】 | 彼女の後ろ姿に「さようなら」と小さく感傷的に呟くのです。それでオシマイ。
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| 【質問】 | 柳沢さんの答えは、おかしすぎます(笑)。もっと真面目に答えてください。
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| 【柳沢】 | わかりました。女の子の写真を撮り終えたあとの気持ちは、たとえて言うと女の子に熱烈なラブレターを綴り、返事を待たず、ひとり静かに立ち去る男の心境でしょうか。
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| 【質問】 | どんどん柳沢さんのキザがエスカレートしてきました。でも、なぜかイヤ味がないんですね。さらっとしてる。まるでTVのお笑い番組を楽しんでるような感じ…(笑)。
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| 【柳沢】 | あっ、そうそう。大切なことを言い忘れそうになりました。
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| 【質問】 | 何ですか。
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| 【柳沢】 | いずれにしても私は、あくまでも読者の代表としてシャッターを押しているにすぎないということです。時間にしてみれば、ほんの一瞬…。ですから彼女と真剣に見つめ合うのは、撮り手の私ではなく、この写真集のページをめくる読者1人ひとりなのです。
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