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特集/「柳沢雅彦・美少女写真集」の舞台裏を覗く

(インタビュアー・西野かおり)


このロングインタビューは「井上穂奈美ファースト写真集」
(モダン出版/TEL03−3814−7180)の撮影をもとに構成されております。



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PART2. 彼女と真剣に見つめ合う

【質問】撮影中、女の子のどこを見つめ、どんなことを考えながらシャッターを押していますか。「女の子を撮る」感覚というのは、ひと言で、どんなものですか。

【柳沢】もちろん女の子の胸やお尻、指先など、あらゆる部分に熱い視線を注ぎます。でも私が一番、凝視するのは、やはり女の子の瞳。だって私が、もっとも知りたいのはモデルの胸の内なんです。つまりハート。そのために、じっと瞳を覗き込むんです。

【質問】モデルの「胸」ではなく「胸の内」ですか。いかにも柳沢さんらしい(笑)。

【柳沢】そうですか。もしかしたら、ちょっとキザに聞こえたかな。

【質問】タキシード姿の柳沢さんを連想してしまいます。

【柳沢】それもまた、謎めいた言葉です(笑)。でも、これって本当なんですよ。「誰よりもキレイに撮ってあげたいというピュアな気持ちがストレートに相手の心に伝わっているだろうか」そんな不安を胸にシャッターを押し続けているんです。

【質問】なんか詩人と話してるみたい。それも現代詩人じゃなくて、遠い昔の詩人(笑)。柳沢さんて噂どおり、やっぱり面白い人です。こんなインタビューは、さすがに初めて。

【柳沢】ふたりで笑ってばかりいても仕方ないので、話を続けますね。まだ本人さえも知らない美しさを、写真家の眼で発見し、どこまで描き出してあげられるか。彼女は無名だからこそ、逆に私の腕が試されるわけです。そういう意味では怖いですよ。「私って、そんなにキレイ? じゃあ、キレイに撮って!」いつも彼女の瞳が、甘く語りかけるんです。

【質問】それでモデルに対してポーズや笑顔の注文をつけるんですか。

【柳沢】いえ、モデルに向かって「ハイ、笑って」などという野暮な注文は出しません。ふくれっつらしていれば、それでいいし、泣いていれば、それでもいい。怒っていても、まったく問題ないんです。その娘の、その瞬間の素直な感情が何よりも大切なのです。

【質問】んなやりかたで写真集ができるんですか。

【柳沢】それが、できちゃったんだから不思議ですね。私にとって「女の子を撮る」というのは、一瞬、モデルと人生が交差すること。数メートル手前で相手にウインクして、OKのサインが返ってきたら、カシャカシャカシャと猛烈な勢いで撮りまくるんです。そして通り過ぎてしまったら、もう撮らない。

【質問】それで、どうするんですか、そのあとは…。

【柳沢】彼女の後ろ姿に「さようなら」と小さく感傷的に呟くのです。それでオシマイ。

【質問】柳沢さんの答えは、おかしすぎます(笑)。もっと真面目に答えてください。

【柳沢】わかりました。女の子の写真を撮り終えたあとの気持ちは、たとえて言うと女の子に熱烈なラブレターを綴り、返事を待たず、ひとり静かに立ち去る男の心境でしょうか。

【質問】どんどん柳沢さんのキザがエスカレートしてきました。でも、なぜかイヤ味がないんですね。さらっとしてる。まるでTVのお笑い番組を楽しんでるような感じ…(笑)。

【柳沢】あっ、そうそう。大切なことを言い忘れそうになりました。

【質問】何ですか。

【柳沢】いずれにしても私は、あくまでも読者の代表としてシャッターを押しているにすぎないということです。時間にしてみれば、ほんの一瞬…。ですから彼女と真剣に見つめ合うのは、撮り手の私ではなく、この写真集のページをめくる読者1人ひとりなのです。

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